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ブログ 津上俊哉
フラガール!

出張の飛行機で見そびれていた映画 「フラガール」 を見ました!


                       フラガール!


  先週出張の機内で、去年見そびれた邦画 「フラガール」 を見ることができた。昨秋の封切り後、2006 年の国内映画賞を総なめにしたヒット作だ。
  昭和 40 年代の福島県いわき市で 「一山一家」 をモットーに栄えてきた炭坑が当時進んだ 「エネルギー革命 (石油消費の急拡大)」 のせいで閉山を迫られ、雇用確保・地域再生のために考案した窮余の一策が坑内に湧く湯泉を活用した 「常磐ハワイアンセンター」 事業だった。
  「オープンまでの実話を背景に、ダンス教師と見たこともないハワイの踊りを一生懸命踊ってこのプロジェクトを大成功に導いた炭鉱の娘たちとの友情と再生を通して人の”命の輝き”を描く映画」
  いま、日本はオバサン (失礼!) のフラダンスが大ブーム、常磐ハワイアンセンターも 「スパリゾートハワイアンズ」 として若い人もたくさん遊びに行く国内テーマパークの数少ない成功例になっている。その背景に、こんな涙と笑いのエピソードがあったという仕立ての映画だ。

  私は炭坑閉山にちょっぴり縁がある。ちょうど 20 年前長崎県庁に出向したときに、長崎市の離島 (といっても船で 30 分くらいのところだが) 高島の炭礦閉山問題に遭遇したからだ。着任直前に会社から組合に閉山提案が行われたため、地元メディアはその問題で持ちきり、県庁職組による 「中央官僚天下り反対」 の着任交渉でも 「高島閉山問題をどう考えているか」 と質問された。
  脱線するが、その答として 「今後如何に地域を再生させるか微力を尽くしたい」 と言って優等生答弁をしたつもりになっていたら、これが大間違い。炭礦組合はまだ閉山提案を受け入れていなかったので 「閉山回避に努力したい」 と言わなければいけなかったのだ。おかげで面接に当たった県職組の専従幹部から 「アンタは今から閉山ば前提にして、もの考えよっとね !?」 と怒鳴られたっけ(もっとも、県庁の任期中に、高島の一つ手前にあり、昭和40年代に閉山した炭坑の島、伊王島のリゾート振興やらの仕事をしたおかげで、組合幹部とは親しくなったけど・・・)。
  そんな訳で、閉山で苦悩する地域の問題に元々関心があったのも、この映画を見たかった理由の一つだった。

  さて、「フラガール」 だが、本当に良かった。女優陣は三ヶ月間フラダンスの猛特訓をして撮影に臨んだそうだが、中でも蒼井優さんの演技と踊りは素晴らしかった。
  映画のフィナーレは、苦難の末にやっと迎えたハワイアンセンターのグランドオープンで踊られるポリネシアン・ダンスのシーンなのだが、「激しいリズムの踊りに熱狂する大勢のお客さん」 を務めるエキストラ (たぶん、いわき市のみなさん ?) が演技を超えて熱狂して出演者たちと熱い共鳴現象を起こす気配が画面から伝わってきて、ジーンときた (・・最近、涙腺が少し緩くなっている)。ダンスと演技はそれくらい素晴らしかった。

  映画を見終わって上海浦東の空港内を歩きながら、これを中国人にも見てもらいたいと思った。もっとも、中国は 1 次エネルギー供給の 7 割を石炭に頼るお国柄、そこへ近年の急速な経済成長が来て発電用炭などの需給が大逼迫している。そのせいで、いま炭坑は儲かる商売の最右翼だ。産炭地の山西省などは金回りの良いことで有名だから、「エネルギー革命による炭坑閉山」 という設定は今の中国人にはピンと来ないかもしれない。
  しかし、見てもらいたいのは 40 年前の日本の姿だ。まだ貧しいのに経済社会の変動のせいで没落する地域が再生のために懸命に努力する姿は 「おしん」 の地域版、みたいなところがあり、感動的なハッピーエンドと合わせて、きっと日本という国に対する共感と理解を増してもらえるのではないか。

  私は日本人としても、ある種の感懐を覚えた。以前も書いたが、私の年代は高度成長に入る前の日本の姿をかろうじて覚えている。若い人にとっては、日本は 「生まれたときから世界第二位の経済大国」 かもしれないが、貧しい時代はそのつい少し前まであったのだ。
  若い人だけではない、私より年配の人も含めて当代日本人は、なにか 「日本はずっと昔から先進国、経済大国でやってきた」 ような錯覚に陥っていないか、と感ずることがある。事実はそうではない。ほんの半世紀前まで、いまの中国沿海部よりも貧しいような時代があったのだ。そう考えると、日本人の側も、いまの中国の姿にそこかしこ共感できる部分があることに気付くはずだ。
  同時に、今後の日本のあり方についても想う。この映画が描いた炭坑の娘たちは、炭坑街の再生と自分の未来のために必死に努力した。やや突飛な連想だが、考えてみれば彼女たちは、東京オリンピックのとき鬼の大松博文監督の猛特訓に耐えて金メダルに輝いた全日本女子バレーボールチームの選手たちと同年代だ。つい数十年前まで、日本人はこんなに努力していたのだ。現役日本人もそのことを励みにして頑張らなければならないと感じた。
平成19年2月5日記
                「フラガール・オフィシャルサイト」

                「フラガール公式ブログ」




 

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