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ブログ 津上俊哉
変貌する中国経済 その三の一

付記 日本企業の対中戦略などについて  中国の変化という本題からは外れますが、「外資」問題に関連して日本のことも二つ論じたいと思います。


                  変貌する中国経済 その三の一
                付記 日本企業の対中戦略などについて


  中国の変化という本題からは外れるが、「外資」問題に関連して日本のことも論じたい。昨今の日本企業の対中進出戦略 (ないし、その不在) についてだ。欧米系多国籍企業が中国地場企業のM&Aや資本参加に乗り出していることは前回述べたとおりだが、日本企業はこの点で欧米企業とは対照的な路線を歩んでいる。WTO 加盟時の約束により、悲願の国内販売に自由に進出できるようになったことを重視して、在来の現地法人形態の工場に加えて 100% 独資の販社も設立する、つまり「 In-House、純血路線」を取る会社が多いのだ。
  筆者は必ずしも 「欧米がやっているM&Aを、日本も乗り遅れないようにやれ」 と主張するつもりはない。目下進められている欧米企業のM&Aが全部成功するはずはない。買収はしてみたものの、かなりの欧米企業はやがてそこから撤収するかもしれない。それ故、結局 「企業カルチャー」 が違う欧米企業のマネをして不慣れな舞台で不慣れなゲームを闘う必要は必ずしもない。
  ただ、それならそれで、「これが我が道だ」 という中国市場開拓戦略を打ち立てるべきだ。「欧米企業のM&Aが全部成功するはずはない」 とはいえ、仮にその 1~2 割でも成功すれば、競合相手の日本企業は、致命的とまでいえなくても中国市場開拓で少なくとも 10 年はライバル欧米企業に追いつけないほどの ”Handicap” を背負い込むことになろう。

  そもそも、昨今中国市場における日本企業のプレゼンスが落ちていると感じられる。遅れて進出して欧米ライバルを追い上げている自動車は例外だが、つい数年前まで世界最強を誇ったはずの家電や電子はどうしたのだろう。消費者向けの最終製品で高級品のニッチ市場に追い込まれているだけではない、強かったはずのデバイスなどでも韓国・台湾勢に追い上げられているのではないか (印象論なので、「それは違う」 とお思いの方は是非元気の出る反証を教えていただきたい)。
  業種によっては、そもそも日本企業の実力が落ちているのだという事情もあろう (ケータイなどではマーケティングの巧拙という以上に、もはや世界の一線で互角に戦う実力がなくなった印象がある)。しかし、それに加えて、一昨年春の反日デモにショックを受けた企業経営者が 「中国については当面様子見」 モードに入っているのではないかという疑いを持つ。また、現状多くの日本企業で中国関連事業がそこそこ儲かっていることも一因だと思う。全社平均を上回る売り上げや利益の対前期伸びを報告する中国担当の社員や部門は社内で賞賛されるだろう。しかし、それに安住していてよいのだろうか。仮に 「マーケット全体はそれに倍する伸びで成長している」 とすれば、シェアとプレゼンスはどんどん落ちているということだ。

  筆者は無責任な 「イケイケ中国」 論を言うつもりはない、中国市場にリスクがあるのは事実だ。しかし、同時に世界の他の場所で、これだけの伸びとサイズを持つ新興マーケットはないことも事実だ。ケータイや電力などの市場では、中国での勝敗が世界市場争覇の要を握るようになった。熟慮のすえ 「打って出ない」 と決めるも良いが、その代わりの戦略が必要だろう。「やはり欧米ライバルに中国で覇を唱えるのを許す訳にはいかない」 というなら、何か手を打つべきだ。いつまでも 「モラトリアム」 を決め込んでいる訳にはいかないはずだ、と外野ながら気を揉んでいる。
平成19年1月28日




 

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