津上俊哉 現代中国研究家・コンサルタント

中国経済・政治

経済再過熱の兆しを警戒する中国
2006/06/06
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 4月下旬以降中国マクロ経済政策に動きがありました。第1四半期の経済統計で 「経済過熱」 が再びぶり返しそうな予兆が出たため、当局が慌ただしく動いたのです。5月の連休を利用して久しぶりにデータや文献をあさった結果をまとめたレポートを作りました。ご興味のある方は下記リンクをクリックしてください。

経済再過熱の兆し [PDF:254KB]


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「経済へのミクロ介入はなぜうまくいかないか」−ある論文から受けた啓発



< 要 旨 >
最近発表された最新の中国統計数値は、設備投資と外需への依存傾向の改善が見 られないだけでなく、銀行貸出やマネーサプライが再び上昇する兆しを見せるなど、「経 済再加熱」の予兆を感じさせる。
これに対して政府は、投資抑制のミクロ介入再強化に加えて、金融引き締め措置 を講ずるなど様々な手を打ち始めた。今はまだ全面過熱を懸念するのは早計だ。
問題の根っこは人民元防衛のためのいまの低金利政策や莫大な為替介入で過剰流 動性が発生していることにある。中国はその処理を巡って難題に直面するであろうが、そ の影響は独り中国だけにとどまらず、世界経済全体に及ぶ可能性もある。
今後状況が悪化しないための焦点は、金融引き締めの度合い、土地政策の動向、 産業へのミクロ介入の効果等だが、中国が中長期的に内需主導型経済に転換していくため には更に多くの課題が待っている。
(2006年6月6日)